小さい頃から細々とピアノを続けていた私ですが、明善高校に入学した時、オーケストラ部の存在を知り、先輩方の演奏に出会いました。美しいハーモニーと迫力のある音色に心を動かされ、「自分もあの音楽に参加したい」と思い、ヴァイオリンを始めることにしました。部活にのめり込む中で、だんだんと楽器そのものにも深い興味が湧き、気づけば演奏だけでなく楽器の構造や音色に関心を持つようになっていました。
そんなある日、調整に出した楽器が、調整前とはまるで違う音を響かせる瞬間を体験し、心を奪われました。音色の変化がこんなにも演奏に影響を与えるのかと感銘を受け、「いつか自分もこの楽器の音を作り出す職人になりたい」と強く感じました。その思いが、バイオリンの専門学校に進む決意につながったのです。
専門学校では、2年間にわたり、バイオリン制作や修理、メンテナンスの基本を徹底的に学びました。音の違いに気づき、その原因を探るために、一つひとつの作業を何度も繰り返しながら、技術を磨いていく日々でした。また、同じ志を持つ仲間たちと切磋琢磨しながら、自分の成長を感じられる貴重な時間でもありました。
卒業後は、師匠のもとで7年間にわたる修行が始まりました。師匠は、バイオリン職人としての豊富な経験を持ち、楽器に対する愛情と技術の高さにいつも驚かされる存在でした。特に、楽器の微妙な音色の違いを見極め、調整していくその技術には感動すら覚え、職人としての理想の姿だと尊敬していました。修行中は、道具の扱いや素材の選び方から始まり、一つひとつの工程に徹底してこだわる姿勢を学びました。
7年間の修行は決して楽な道のりではありませんでしたが、私にとってはかけがえのない時間でした。師匠から継承した技術と経験をもとに、今度は私がバイオリンと向き合い、お客様一人ひとりにとって大切な楽器を最善の状態でお届けできる職人として成長していきたいと思っています。
この経験を活かし、お客様の大切なバイオリンを長く、そして美しく響かせられるよう、日々心を込めて取り組んでいます。今後もバイオリンへの情熱を胸に、皆様の音楽を支えるお手伝いができればと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
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